ものづくり補助金の活動・成果を紹介するWebサイトが公開

中小企業庁のポータルサイトであるミラサポのメールマガジンを登録してあるのですが、昨日11月9日付のメルマガでは、ものづくり補助金の活動・成果を照会する「ものづくり補助事業関連サイト」が公開されたことが案内されていました。

サイトの説明を読むと以下のように掲載されています。

サイトの目的とものづくり補助事業の概要

第2次安倍政権におけるアベノミクスでは、経済成長を目的とした3本の矢が掲げられ、その1つに「民間投資を喚起する成長戦略」がありました。これは、ビジネスチャンスを探して、その実現にチャレンジする民間企業を国が支援をするというものです。

国は、平成24年度補正予算において、中小企業・小規模事業者対策予算として5,434億円を計上し、その内、1,007億円が、ものづくりをする中小企業・小規模事業者の試作開発や設備投資に必要な費用の一部を補助する、いわゆる“ものづくり補助事業”に投じられることになりました。

平成24年度から26年度は、基金事業として、平成27年度からは補助金事業として実施し、平成28年度までに延べ5万2,000に上る中小企業・小規模事業者が本事業の採択を受けています。

本サイトは、平成24年度~26年度に実施した「ものづくり補助事業の活動・成果」を紹介する公式ホームページです。“ものづくり補助事業”での活動・成果をご覧いただき、ビジネスマッチングに有効にご活用くだされば幸いです。

同サイト「サイトの目的とものづくり補助事業の概要」より

以前の記事で補助金は採択された後も色々な手続きがあるということを書きましたが、ものづくり補助金に関しては補助金を受け取った後も5年間の報告期間が設定されていることもあり、補助金を受けた事業者(補助事業者)についてその後のフォローアップが行われています。

こちらのサイトはそのフォローアップの一環として、主に補助事業者のビジネスマッチングを支援する目的で開設されたものということです。

今回こうしたサイトが開設されましたが、実は以前からもビジネスマッチングの支援といったものは行われてきました。大きな内容としては以下の二つです。

  1. 全国事務局が開催するビジネスマッチング展示会(新ものづくり・新サービス展
  2. 各都道府県事務局が作成する成果事例集冊子の公表

それぞれの内容について、私の所感も踏まえてもう少し解説します。

ビジネスマッチング展示会(新ものづくり・新サービス展)

この展示会は2015年のスタートから毎年開催しており、今年は3年目となります。

同じように国の事業として行われている中小企業向けの展示会では、独立行政法人中小企業基盤整備機構が毎年開催している新価値創造展がありますが、新価値創造展が基本的に出展企業を一般から広く募集しているのに対して、新ものづくり・新サービス展はものづくり補助金の採択企業から出展企業を募集している点が大きな違いです。

新ものづくり・新サービス展はその目的がものづくり補助事業のビジネスマッチングにあることから出展企業を限定しているわけですので、補助金の採択事業者は直接的な補助金の交付だけでなく、展示会出展という形でも支援を受けられるということになります。

しかしながら単体の展示会として見た場合、昨年までの様子を見る限りでは、特定の業種のみに特化した専門展としての様態は薄く、よく言えば業種のバラエティ豊かな(悪く言えば、雑多な業種業態の)展示会としての印象が否めないものでした。

出展企業を限定している以上、特定業種に絞った専門性を出すことは難しいでしょうし、国の補助事業であり公平性が求められるので、ある程度業種のバランスを取らないといけない事情もあるのでしょうが、展示会を見る側の立場としては、自社の目的に沿った内容の展示会でないとなかなか足を運びづらいでしょう。

一方で、新規事業のアイディアや新規性のある取り組みを探している方にとっては、補助金申請という一種のハードルを越えた企業が集う展示会ですから、何かしら新しい発見があるかもしれません。

各都道府県で制作する成果事例集

成果事例集は各都道府県の補助金事務局(各都道府県の中小企業団体中央会)が主体となって作成する、個々の補助事業者の成果事例集です。

取り上げる事業者数やテーマなどは都道府県によって異なりますが、概ね数十ページ程度の冊子として取材記事をまとめ上げ、地域の中小企業支援機関や金融機関などに配布されるケースが多いようです。

ものづくり補助事業関連サイトでは、この事例集の内容が検索・閲覧できるようになっており、現在は平成25年度予算の成果事例について記事がPDF形式でアップロードされているようです。24年度・26年度の事例も検索項目にある所を見ると、追って記事が公開されるのではないかと思われます。

ちなみに神奈川県の事例集はこのような感じで作成されています。(記事本文を読みたい方は画像リンク先を参照ください)

聞くところによると、こちらの成果事例集は金融機関からの関心が高いようです。以前のエントリーでも少し触れましたが、地域金融機関は貸出先の事業性を評価した融資を行うよう金融庁から指導があるため、こうした事例集を参考にして貸出の目利きを行う勉強をしているのだとか。

余談ですが、補助金に通ると融資が出やすくなるというのは確かにあるようです。ただしその融資がその企業の事業計画を信頼しての融資なのか、それとも補助金入金を引き当てにした単なるつなぎ融資なのかは、慎重に見極める必要があります。

というのも補助金採択=お金が貰えることが決定ではないため、最悪の場合あてにしていた補助金が得られず、返済に支障きたすケースも想定できるからです。

この点は別の機会に詳しく記事にしたいと思います。

今年も補助金はあるのかどうか

今の時期で特に気になるのは、来年も同様の補助金があるのかどうかだと思いますが、これまでものづくり補助金は年度の補正予算で計上されていましたので、あるとすれば29年度予算の補正になるかと思います。

補正予算に関しては、各省庁が策定を行っている最中で、年明け1月の通常国会で提出される見通しです。

日経新聞 「第4次安倍内閣、1日夜発足 補正予算編成表明へ 」

17年度補正予算は首相が衆院選で掲げた「人づくり革命」の実現に向けた待機児童対策や人工知能(AI)の導入といった「生産性革命」が柱。欧州連合(EU)と大枠合意した経済連携協定(EPA)に向けた農業の国内対策や災害対策の関連費用も盛る。補正予算は18年度予算と一体的に編成し、来年1月召集の通常国会の冒頭に提出する。

実際に予算が付くかどうかは蓋を開けてみないとわかりませんが、今からできることは事業計画づくりに取り組んでおくことです。普段から取り組んでおくと、経営の方針が定まりますし、何かの申請の際に慌てなくて済みますので、すべての中小企業がやっておくべき、という事を提言して本日の結びにしたいと思います。

国の施策をもっと深く勉強したい方は中小企業庁が公開している中小企業白書が参考になります。Webだとタダで見れますが、冊子で欲しい人はお金かかりますけどアマゾンでも買えます。

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