完全キャッシュレスの「GATHERING TABLE PANTRY馬喰町店」に行ってみた

私は普段の買い物では基本キャッシュレス決済で、モバイルSuicaかクレジットカードで済ませることが多いです。理由はつり銭を気にしなくて良くて会計時間が早いから。

混んでるコンビニでつり銭を1秒でも早く出すべく、店員さんが早送り再生みたいな動きでレジ打ちしているとき、電子マネーで一瞬で決済を終わらせると、なんだか良いことをしたような気分になるのは私だけでしょうか。

そんなキャッシュレス大好き人間な私にとって気になるニュースが入ってきました。

ロイヤルHD、キャッシュレスの飲食店

ロイヤルホールディングスは1日、支払いをクレジットカードと電子マネーに限定したレストランを東京都中央区に開くと発表した。今月6日から営業を開始する予定。客との間で現金のやりとりを完全に無くすとともに、注文はすべてタブレットで受け付け店舗運営を効率化する。

これは一度体験せねば・・・ということで、11月6日にオープンしたばかりの「GATHERING TABLE PANTRY馬喰町店」に早速行ってきたので、本日はそのレポート。

完全キャッシュレス店舗はこんなところ

「GATHERING TABLE PANTRY馬喰町店」の外観

「GATHERING TABLE PANTRY馬喰町店」の外観

店頭には「キャッシュレスチャレンジのご案内」という看板が出ており、現金は使えないことを表示しています。店頭にも一人スタッフが立っており、気になって足を止める人にお店の説明をしていました。

この日は15時過ぎに入店、オープンしたばかりで混んでるかも・・・と心配だったけど、席はいくつか空いており、すぐに入店。

中に入ってすぐスタッフから「当店は完全キャッシュレスにチャレンジしており、現金は使えませんが良いですか?」と確認される。もちろん大丈夫です。

店内の雰囲気はこんな感じ。

記事ではピーク時のスタッフは5~6人とありましたが、この日はオープンしたばかりという事もあってか6名前後のスタッフが居ました。

テーブルの下には充電用のコンセントも。

テーブルに着くとスタッフがiPadにテーブル番号を入力し、注文方法を説明。

左上のドリンク・フードで種類を切り替えて、左右にフリックするとページをめくる感覚でメニューが出てきます。注文したいメニューの+ボタンを押すとオーダーに追加されて、最後に注文ボタンを押すと確定する仕組み。居酒屋とか回転寿司で似たようなオーダーをしたことがあれば、特に悩まず操作できるはず。

と、一通り説明を終えたところで、女性店員さんが突然話しかけてきた。

店員「凄くないですかこれ!(iPadのこと)頑張って説明の練習したんですけどちょっと噛んじゃいました。」

接客モードからいきなり会話になったのでちょっとビックリしましたが、せっかくなので話をしてみることに。

私「呼び出しボタンもこのiPadからやるんですか?」

店員「はいそうです、押してもらうとスタッフのアップルウォッチに表示されます」

と、そこはかとなく自慢気にアップルウォッチを見せてくれたので、許可をもらって撮影させてもらいました。

呼び出しボタンの代わりにアップウォッチを携帯

呼び出しがあるとこれに表示されるそうな。ファミレスでよくあるピンポンと鳴るボタンや、テーブル番号を表示する電光板などは確かにありません。

ひとしきり話したあとに食事をオーダー。

チキンのハーブグリルとレンズ豆 680円(税別)

チキンのハーブグリルとレンズ豆 680円(税別)

クレソンと生ハムのサラダ 780円(税別)

クレソンと生ハムのサラダ 780円(税別)

美味しかったけど、メニューに何か特徴があるか(安いとか、目玉商品があるとか)と言われれば、至って普通と言うのが率直なところ。この辺りは今後に期待でしょうか。

最後にiPadから会計ボタンを操作すると、店員が近寄ってきて決済方法の確認をされる。Suicaでの支払いを選択すると、ポケットから楽天スマートペイの決済端末を取り出して手元のiPhoneから決済操作を行うので、Suicaをタッチ。

最後に紙のレシートが発行されて決済完了。できればレシートも電子にしてほしいけど。

実際に体験してみてわかりましたが、普段からファミレスでもキャッシュレスで会計してる自分としては、いつも通りで特別なことはさほど無かったということ。(当たり前と言えば当たり前であった・・・)

果たしてキャッシュレス店舗は広まるのか?

結論としては、広まる余地は十分にあるんじゃないかと思います。 ただ上でも述べたように、今の状態では利用者側からすると特にすごいメリットがあるわけじゃないです。

・タブレットオーダー(居酒屋とか回転寿司で普通にある)

・キャッシュレスで決済(そこそこの店舗なら普通にある)

効率化・省力化で少人数でも回せるところがメリットなのかと思い、机に電源もあるからコミュニケーション省いて黙々と作業利用できるぼっち向けのお店かも、と最初思ってましたが、フランクな店員さんがいきなり親しげに話しかけてきた時点でその読みはハズレということに気が付きました。

ルーチン的な業務を効率化して、その分接客に力を入れようとしているのだろうか。(今回の店員さんがそういう人だったというだけかもしれないけど。)

そういったわけで、もっと店舗として流行ることを考えると利用者メリットはもう少し頑張ってほしいなと思った次第です。しかし、利用者目線では無くて店舗目線で考えるといろいろと思う所がある。

特別な仕組みを導入してるわけじゃない

観察してわかりましたが、店舗で使っている道具はiPadとか楽天スマートペイとか、他所でも普通に見かける一般的な機器ばっかりでした。

キャッシュレスは個人レベルでも同じく楽天ペイとかAirペイとかですぐできるし、タブレットでのセルフオーダーもデザインにこだわらなければ殆どコスト掛けずに導入できます。

つまり、中小零細の店でも真似しようと思えば明日からすぐやれるということです。

じゃあなぜこの店舗がそこまで注目されるかと言えば、やはり現金決済不可という一見するとデメリットにしか思えない取り組みを、うまくニュースとして話題に仕上げたという点でしょう。

利用者側ではあまりメリット無いと書きましたが、運営側からするとこの店舗のポテンシャルはとてつもなくて。現金を扱わないという事は売上金に関わる無駄やリスクがほぼゼロになるということです。

・レジ締め業務の負担が無い

・現金の数え間違えや不正のリスクが無い

・現金を運ぶコストや盗難のリスクが無い

・つり銭の準備や不足の心配が無い

これだけでもスタッフの労働時間が相当削減できることが容易に想像できます。

クレジットや電子マネー決済の場合で負担になるのは手数料ですが、上述の楽天ペイやAirペイだと3.24%~3.74%なので月商300万で約10万ちょっとの手数料ですね。これは人によって捉え方が変わる所だと思いますが、効率化した分で十分カバーできるコストです。

入金までのサイトも気になるところですが、楽天ペイで楽天銀行口座の入金だと翌日には振込されるので、資金繰りは昔と比べるとだいぶ改善されてます。

現金やめます!という決断ができるか

結局のところこれが一番のハードルでしょう。私自身はキャッシュレスに何の抵抗もないのでこの手のお店が流行ってくれれば大変うれしいのですが、やるからには私みたいなタイプの顧客を中心に集められるエリアや店舗づくりが必要となる。

ロイヤルHDはそうした事前準備も含めて今回の第1号店出店なのだと思いますが、完全キャッシュレスのメリットを顧客側にも与える仕組みがまだ十分じゃないという印象でした。

という事は、中小零細でもキャッシュレスのメリットを生かして効率化した分を、顧客へのメリットとして還元していくモデルを作れれば、十分成功の芽はあるはず。キャッシュレス店舗やってみたい方いましたらお手伝いしますので、是非ご相談ください。

現金無くすと経理などの事務作業もめっちゃ楽になりますよという児玉先生のノウハウ本。

ちょっと古い本ですけど経営者や事務方の人は一見の価値ありです。

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